今回は公的保険の最後です。これを理解して民間保険に入ることをお勧めします。
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後期高齢者医療制度と公的介護保険
退職後の公的医療保険
退職後も公的医療保険に入らなければいけません。
- 健康保険の任意継続被保険者
- 国民健康保険に加入
- 子や配偶者の健康保険の被扶養者になる
の3つの方法があります。
そして、任意継続被保険者になるには条件があります。
被保険者期間が継続して2か月以上あること
退職日の翌日から20日以内に申請すること
加入期間は最長で2年間
保険料は全額自己負担
任意継続被保険者は国民年金と同じく傷病手当や出産手当は支給されません。
ここの覚え方は2か月・20日・2年と覚えましょう!
後期高齢者医療制度
75歳になると後期高齢者医療制度に加入となります。
基本的に75歳以上で又は65歳以上75歳未満で障害の認定を受けた人も対象です
自己負担額は1割になります。(現役並みの稼ぎの人は3割のまま)
公的介護保険
介護保険は市町村(または特別区)から認定を受けることで給付されます。
被保険者には第1号と第2号と分かれています。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
保険者 | 市町村or特別区 | ← |
対象者 | 65歳以上の人 | 40歳以上65歳未満の人 |
受給者 | 要介護者1~5段階 要支援者1~2段階 | 加齢を原因とする特定疾病によって要介護者・ 要支援者となった場合に限り支給。 交通事故は含まれません。 |
保険料 | 所得に応じて決定 年金から天引き(特別徴収) | 健康保険(国民健康保険)の保険料と合わせて徴収 |
自己負担の割合 | 原則1割。第1号で前年の収入が 280万円以上の人は2割 340万円以上の人は3割 ケアプラン作成費は無料 (自分で作ってもよい) | ← |
居宅介護住宅改修費:要介護者が介護生活に支障がないように、手すり等の住宅改修を行った場合は一定の限度額内で改修費用の9割が支給される。
この表もなかなか大変ですが覚えましょう!
労災保険と雇用保険
労働者災害補償保険(労災保険)
労災保険は全事業所が加入する制度で、経営者や役員を除く全ての労働者が対象になります。
保険料は全額事業主負担です。治療費は全額が労災保険から支給され、自己負担はありません。
特別加入制度
経営者や役員は労災保険の対象にはなりませんが、次の人は任意に加入できます。
- 中小企業の事業主
- 個人タクシー業者や大工等(一人親方)
- 海外の事業所で働く者
労災保険の給付対象
労災保険は、業務災害、通勤災害、の他にも病気やケガで休業して賃金が払われない場合には休業補償給付が支給されます。
- 業務災害:業務上のケガ・障害・病気・死亡・出張中の事故はすべて業務災害
- 通勤災害:通勤中のケガ・障害・病気・死亡は通勤災害。日常の買い物など通勤ルートの場合も通勤災害になります。趣味やドライブ等の寄り道は対象外。
- 休業補償給付:休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%を給付。
- 障害補償給付:業務上の負傷等で障害が残った場合は障害等級に応じた額が給付される
雇用保険の概要
雇用保険は全事業所が加入する制度で、すべての労働者が対象です。
保険料は事業主と労働者で負担し、負担割合は業種によって違います。
対象者:正社員・派遣社員・パートタイマー・アルバイト等名称ではなく下記の要件を満たす労働者
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 継続して31日以上雇用される見込みがあること
- 65歳以上の労働者は”高年齢被保険者”として新規で雇用保険に加入できる
保険料:事業主と労働者で負担
雇用保険の給付
- 基本手当:失業者の求職活動中に支給される。いわゆる失業保険
- 就職促進給付:基本手当支給期間に再就職した場合に支給される
- 教育訓練給付:指定の教育訓練を受ける際に支給される
- 雇用継続給付:高齢者や育児休業取得者に支給される
労災保険は全額事業主負担・雇用保険は事業主と労働者が負担!
雇用保険の基本手当
働く意思と能力があるが就業できない失業状態の場合に給付されます。
65歳未満の者が雇用保険の基本手当を受給する場合は、特別支給の老齢厚生年金は支給停止となります。
受給資格:離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上(倒産・解雇では離職の日以前1年間に6か月以上)あること。
基本手当がもらえる日数
被保険者期間 (離職前2年間) | 1年未満 | 1年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 |
一般受給資格者 (自己都合・定年退職) | 支給なし | 90日 | 120日 | 150日 |
特別受給資格 (会社都合:倒産・解雇) | 90日 | 90~270日 | ← | 最長330日 |
雇用保険の基本手当は、退職後7日間の待機期間の経過後に給付されます。ただし、自己都合の場合、重責解雇の場合は退職後7日間の待機期間+最長3か月間の給付制限期間の経過後に支給されます。
雇用保険の就職促進給付
雇用保険の基本手当支給期間に再就職した場合支給されます。
雇用保険の教育訓練給付
厚生労働大臣指定の教育訓練講座を受講、修了した場合、訓練経費の一定額が支給されます。
一般教育訓練 | 専門実践教育訓練 | |
支給額 | 訓練経費の20% (特定一般訓練は40%) | 訓練経費の50%(修了後に資格取得し、 1年以内に被保険者として雇用された場合は 20%を追加支給で最大70% |
支給額の上限 | 10万円 (特定一般訓練は20万円) | 1年40万円、2年80万円、3年120万円 (上記20%追加支給の場合は56万円/年) |
支給期間 | 最長1年 | 最長3年 |
対象となる 被保険者期間 | 3年(初回は1年)以上 | 3年(初回は2年)以上 |
申請期限 | 受講修了日の翌日から1か月以内に 本人の住所を管轄するハローワーク に申請書を提出 | ← |
ややこしいですがマーカーの部分を覚えておけば大丈夫です。
雇用保険の雇用継続給付
高年齢雇用継続給付 と 育児休業給付 と 介護休業給付 の3つがあります。
高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付:60歳到達時の賃金より75%未満の賃金で働く60歳以上65歳未満の被保険者に支給。
被保険者期間は通算で5年以上
支給額は60歳以後の賃金×15%相当額(上限)
高年齢再就職給付金:雇用保険の基本手当を受給後、受給日数を100日以上残して60歳到達月から65歳到達月までに再就職した一般被保険者に支給される。
育児休業給付
育児休業を取って給料が支払われなくなった者に支給される。
子の年齢:原則は満1歳未満 → パパママ育休プラス制度を利用すると1歳2か月未満 → 支給対象期間延長に該当する場合は1歳6か月又は2歳未満
被保険者期間:原則休業開始2年間にみなし被保険者期間が通算で12か月以上あること。
支給額:休業開始6か月間(180日まで)は休業開始賃金日数×支給日数(原則30日)の67%、それ以降は50%。休業開始時賃金日額には上限額と下限額がある。
介護休業給付
家族の介護の為休業し一定の条件を満たせば、休業開始時賃金日額の67%が支給される。
不正受給を防ぐ為でしょうけどややこしすぎる!もう少しシンプルになればいいのですが、現状の制度を覚えなければなりません。会社員の方は使う機会があると思うので、ぜひ頑張ってください。