FP3級への道 ~リスク管理~ Chapter1

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ここからは保険について勉強していきます。

保険の基礎知識

すでに勉強した公的保険に加えて、民間での保険いわゆる私的保険があります。

私的保険は表のように分類されます。

第一分野第二分野第三分野
生命保険
終身保険
定期保険
養老保険
etc.
損害保険
火災保険
自動車保険

etc.
第一・第二分野に属さない保険
医療保険
がん保険
損害保険
etc.

ここは覚えなくても良いのでさらっと

ソルベンシー・マージン比率

保険会社の支払い能力見る指標をソルベンシー・マージン比率と言います。

ソルベンシー・マージン比率が200%以上であれば、健全性が高いとされています。

200%以下では大災害などのリスクに耐えられないと金融庁から怒られます。

ここは覚えておきましょう。

保険契約者保護機構

保険会社が破綻しても保証してくれます。

それが生命保険契約者保護機構損害保険契約者保護機構です。

生命保険契約者保護機構損害保険契約者保護機構
破綻時点の
責任準備金の90%まで補償
保険金の80%~100%を保証
責任準備金=保険会社が保険金や給付金の支払いの為に積み立てている準備金

保険会社は保護機構の加入が義務付けられていますが、少額短期保険会社(保険金額が少額、短期、掛け捨てで保険金上限1000万円)や共済に加入義務はありません。

クーリング・オフ制度

保険も契約の撤回や解除ができます。

契約の申込日」か「契約申し込みの撤回等に関する事項の記載した書面を受け取った日(交付日)」のどちらか遅い方の日から8日以内に書面で行います。

ただし、法人契約や保険期間1年以下の契約や通信販売はクーリング・オフ適用外となります。

保険業法

保険業法によって、生命保険募集人が契約者や被保険者に不利益となる事実を告げずに現在の保険を解約して新契約に加入させること、顧客に虚偽の告知を勧めること、保険料の割引など特別の利益の提供を約束することなどが禁止されています。

生命保険の保険料

生命保険料算定の原則

生命保険の保険料は、大数の法則と収支相等の原則に基づいて、3つの予定起訴率 ①予定利率 ②予定死亡率 ③予定事業費率で算出されます。

大数の法則=数が多いケースで一定の法則があること

収支相等の原則=保険会社の収入(保険料の総額)と、保険会社の支出(保険金の総額)が等しくなるように算定されていること。

予定死亡率過去の統計に基づく男女別、年齢別の死亡率。予定死亡率が高いほど保険料は高くなる
予定利率保険会社が見込んでいる運用利回り。その分を割り引く為、予定利率が高いほど保険料は安くなる
予定事業費率保険会社が事業を運営するのに必要な費用の保険料に対する割合。予定事業費率が高いほど保険料は高くなる

この辺は保険会社の気持ちになって考えるとそんなに難しくないです。

配当金

保険会社では保険料の収入が支出を上回った場合、3つの差益(3利源)が出ることがあります。

これを契約者に還元するのが配当金となります。

死差益死亡率が予定死亡率より低くなった場合に生じる利益
利差益運用による実際の運用収益が、予定利率に基づく収益より多くなった場合に生じる利益
費差益事業費が予定事業費率によって見込まれた事業費を下回った場合に生じる利益

配当有り無しの保険は

  • 有配当保険=死差益、利差益、費差益から配当金が支払われる
  • 準有配当保険=利差益のみから5年ごとに配当金が支払われる
  • 無配当保険=配当金はありません

この3つがあります。

保険料の構成

保険料は、純保険料付加保険料に分けられます。また、純保険料には死亡保険料生存保険料があります。

保険料の内訳

純保険料 (保険金を支払う財源:予定死亡率、予定利率を元に算定)

+

付加保険料 (保険の運営・維持費用:予定事業費率を元に算定)

純保険料死亡保険料 (死亡保険金) + 生存保険料 (満期保険金)

先の保険料算定とまとめると、

  • 予定死亡率が高いと純保険料が高くなる
  • 予定利率が高いと純保険料が安くなる
  • 予定事業費率が高いと付加保険料が高くなる

生命保険の契約

保険契約の手続きと責任開始期

告知義務=被保険者や契約者は病歴や健康状態などの重大な事実について、保険会社の質疑応答に答えなければならない。

告知義務と契約解除

●保険契約者等が故意または重大な過失により告知義務に違反した場合、保険会社は契約解除できる。ただし、告知義務違反を知ってから1か月を経過しても解除をしなかったとき、または契約締結から5年を経過した時は保険契約を解除することができない。

生命保険募集人が契約者や被保険者の告知を妨害した場合や契約者に事実でない告知をすることを勧めた場合、保険会社は保険契約を解除することができない。

保険会社に生命保険契約上の履行義務(保険金・給付金の支払い等)が発生する時期を責任開始期(日)といいます。責任開始期は保険会社の承諾を前提として、申込告知第一回保険料払い込み3っつがすべて完了した時とされています。

保険料の払い込み

保険料の払い込みは、前納払い、一時払い、年払い、月払い等があります。

前納払い=支払期日より前に何か月分かをまとめて払うこと

一時払い=契約時に一括で支払うこと(一括なので安くなる)

解約返戻金生命保険控除
前納払い中途解約時、払込期日が来ていない
保険料は返還される
毎年、生命保険料控除の対象になる
(節税効果が高い)
一時払い中途解約すると、解約返戻金額が
一時払い保険料を下回る場合がある
保険料を支払った年の1回だけ
生命保険料控除の対象
となる

保険料の支払いには一定の猶予期間があり、猶予期間内に発生した保険事故に対する保険金は支払われることになっています。

支払方法猶予期間(保険金は支払われる)
月払い払込日の翌月の初日~翌月末
例:払込日が2/20なら3/1~3/31
半年・年払い払込日の翌月の初日~翌々月の応当日※1
例:払込日が2/20なら3/1~4/20
※1応当日とは各月・半年ごとの契約日に当たる日付

告知義務や2つの表は問題になりやすいので覚えましょう!

生命保険の貸付制度

解約返戻金の一定範囲内で保険会社から利息付きで貸し付けを受けられる制度があります。

自動振替貸付制度払い込み猶予期間にに払い込みが無かった場合、
保険会社が自動的に保険料を立て替えて契約を持続させる制度
契約者貸付制度解約返戻金の一定範囲内(70%~90%)で保険会社から貸し付けを受けられる
契約期間内いつでも返済可能

保険継続のための制度

保険料の払い込みを中止して、解約返戻金をもとに契約を継続できる制度があります。ただし、特約は消滅します。

払済保険解約返戻金をもとに一時払い保険(一時払い養老保険)に変更する
保険期間を変えずに、保険金額を下げる
延長(定期)保険解約返戻金をもとに一時払いの定期保険に変更する
保険金額を変えずに、保険期間を短くする

すでに勉強した住宅ローンの繰り上げ返済に似ていますね!

保険契約の見直し

契約転換制度保険金減額制度

契約転換制度現在契約している保険の責任準備金と積立配当金を「転換(下取り)価格」として
新しい契約の一部に充てる方法。保険料は転換時の年齢・保険料により新たに計算される
転換契約時には医師の診査・告知が必要

契約転換後の保険もクーリング・オフ制度の対象となります。
保険金減額制度保険金を減額して保険料を減らす。
減額部分は解約扱いになり、解約返戻金があれば受け取ることができる。

保険契約の失効と復活

猶予期間が過ぎても、保険料の払い込みが無く、自動振替貸付けもできない場合は保険契約が失効します。ただし、失効しても一定の期間内に所定の手続きを行うことで契約を復活できます

  • 契約失効中の保険料・利息を一括して払い込むことで、保険契約を継続できる。
  • 保険料(保険料率)や契約内容は失効前と同じ
  • 契約復活には医師の診査・告知が必要
  • 保険契約を解約した場合は復活ができない

保険会社の保険に入っている方は何かしら耳に残っているかもしれません。すべてを理解して保険契約をしている人は少ないのではないでしょうか。FP3級の知識は生活にも大変役に立つと思います。