FP3級への道 ~金融資産運用~ Chapter3

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株式

株式と株主

株式とは債権と同じく株式会社が資金を調達するために発行する有価証券のことです。株式に出資した人を株主といいます。

議決権株主総会での議案に対して賛否を表明することができる権利。
単元株(最低売買単位:1単元)につき1つの議決権を与えられる
利益配当請求権会社の利益(剰余金)を配当として受け取ることができる権利。
剰余金配当請求権ともいう
残余財産分配請求権企業が解散した場合、残った財産の分配を受けられる権利

証券取引所

株式は主に東京証券取引所(東証)を通して売買されます。

2022年4月4日に再編成され、プライム、スタンダード、グロース といった市場に分かれています。

株式の売買単位と手数料

株式の最低売買単位を単元株(1単元)といいます。東証の上場企業の場合、単元株は100株となっています。

単元株制度を採用していない会社は1株単位の取引になります。株式売買委託手数料は、証券会社が自由に設定できます。通常インターネット取引の方が手数料は安くなります。

株価と売買高

株価は株式市場で直近に約定やくじょう(取引が成立すること)があった値段のことです。

一日の最初に取引された株価を始値はじめね、最後に取引された株価を終値おわりね、取引時間中の最も高い株価を高値たかね、最も安い株価を安値やすね、といいこれらの4つの値を合わせて四本値よんほんねといいます。

前日比△10円とあれば、プラス10円のこと、▲10円であれば、マイナス10円を表します。

1日に取引が成立した株数の事を売買高(出来高)といいます。

株式の価格決定と注文

株の価格はオークション方式で決まります。売買には、買い注文の場合は値段の高い方、売り注文の場合は値段の安い方が優先(価格優先の原則) 値段が同じなら時間が早かった方が優先(時間優先の原則) 値段も時間も同じなら、指値注文よりも成行注文が優先(成行優先の原則)という原則があります。

株式売買が約定すると、約定日を含めて3営業日目に決済(受渡し)が行われます。営業日は月から金で祝日は除きます。

※ 株主優待や配当金の権利を得るためには約定日は少し注意が必要です。

指値注文:売買価格を指定して注文する方法。買いたい価格の上限、売りたい価格の下限を指定する。買い注文では高い価格から優先して成立していく。

成行注文:売買価格を指定しないで、銘柄、売りか買いか、数量を指定して注文する方法。すぐに買いたい、売りたいときに用います。

なお、株式取引では株価が大幅に変動すると、投資家に不測の損害を与える可能性があるため、値幅制限といって1日の値幅を所定の範囲内に制限する制度があります。値幅制限の上限まで上昇するとストップ高、下限まで下落するとストップ安となります。

株価指数

株価指数は株式の相場の状況を示すために、個々の株価から計算された数値です。

日経平均株価(日経225):東京証券取引所プライム市場に上場する代表的な225銘柄から構成。指標の連続性を保つように増資や株式分割など特殊な株価の変化を修正して計算する修正平均型の株価指数。

東証株価指数(TOPIX):プライム市場に上場する全銘柄の時価総額を加重平均して算出した株価指数。時価総額の大きい銘柄の値動きの影響を受けやすい。

JPX日経インデックス400:グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした、「投資者にとって投資魅力の高い会社」の400社で構成される株価指数。

用語:

株式分割=資本金を変えないで1株を一定比率で分割すること。1株当たりの株価が下がって購入しやすくなるため、株の流動性が高くなる。1株を2株に分割すると、株式数は2倍になる。

時価総額株価×発行済み株式数

株式投資の指標

株式投資の際、企業の状況と現在の株価を分析するための指標に以下のようなものがあります。

テストでは数値の計算例が多く出題されます。

ある会社を例にとって指標を理解していきましょう。

X社のデータ株価=1000円発行株式数=1億株
純資産(自己資本)=500億円当期純利益=50億円1株当たり年間配当金=10円

1株当たり純利益(EPS)=当期純利益÷発行済み株式数

企業の1株あたりの利益額を示す指標で、株式の収益力を示します。当期純利益を発行株式数で割って求めます。EPSが上昇すれば株価収益率(PER)が下降し、株価が割安になります。

X社のEPSは 50億÷1億株=50円

1株当たり純資産(BPS)=純資産÷発行済み株式数

企業の1株当たりの純資産額を示す指標で、企業の解散価値を示します。純資産(自己資本)を発行済み株式数で割って求めます。BPSが高いほど、企業の安定性が高いことになります。

X社のBPSは 500億÷1億株=500円

配当利回り=1株当たり年間配当金÷株価×100

株価に対する年間配当金の割合(%)を示す指標。1株当たり年間配当金を株価で割って求めます。株価が下落すると、配当利回りは上昇します。

X社の配当利回りは 10円÷1000円×100=1%

株価収益率(PER)=株価÷1株当たり純利益(EPS)

株価が1株当たり純利益(EPS)の何倍かを示す指標で、会社の出す利益に対して現在の株価が安いのか高いのかを判断する材料になります。PERが高いほど株価は割高、PERが低いほど株価は割安だと言えます。

X社のPERは 1000円÷50円=20倍

株価純資産倍率(PBR)=株価÷1株当たり純資産(BPS)

株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍かを示す指標で、会社が保有する資産に対して現在の株価が安いのか高いのかを判断する材料になります。PBRが高いほど株価は割高、PBRが低い(1倍に近い)ほど株価は割安だと言えます。

X社のPBRは 1000円÷500円=2倍

自己資本利益率(ROE)=当期純利益÷自己資本×100

株主の投資額(自己資本=純資産)を使って、どれだけ効率的に利益を獲得したかという割合(%)を示す指標で、ROEが高いほど収益率が高い会社ということになります。

X社のROEは 50億÷500億×100=10%

配当性向(%)=配当額÷当期純利益×100

1株当たりの当期純利益のうち1株当たりの配当金額が占める割合を示す。配当金額が一定の場合、当期純利益が増えると配当性向は低くなります。

X社のBPSは 10億÷50億×100=20%


テストでは2社を比較して、指定された指標を算出し比較する問題が出やすいので指標の意味と計算方法を覚えましょう!