FP3級への道 ~不動産~ Chapter2

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不動産に関する法令

何気ない街並みも決められた法令に沿って作られています。散歩や通勤時にでも気にしてみるようにしてみましょう。

都市計画法

都市計画法は計画的な街づくりを行うための基本的な法律で、都市計画区域を定めています。都市計画区域は線引き区域(市街化区域+市街化調整区域)非線引き区域に分かれます。

市街化区域は用途を定めて市街化を進める区域

市街化調整区域は自然環境を残すため、用途を定めないで市街化を抑制すべき区域です。

市街化区域

開発許可制度

開発行為を行う場合、

市街化区域では1,000m2以上の規模であるものは都道府県知事の開発許可が必要です。

市街化調整区域では規模にかかわらず知道府県知事の開発許可が必要です

建築基準法の用途制限

都市計画法では用途地域を居住系、商業系、工業系に分け、13種類の用途地域を定めています。

建築基準法では工業専用地域には住宅を建ててはいけないなど、建築用途を制限しています。1つの敷地が異なる2つ以上の用途地域にまたがる場合、その敷地の全体について、過半の属する用途地域の用途制限が適用されます。ようするに、大きい面積の地域の用途になります。

なお、用途地域・防火規制など、建物の「建築規制」は都市計画図(地方公共団体で有料配布)に掲載されています。

用地地域

赤字は良くテストにでる項目です!

接道義務とセットバック

建築基準法では道路を次のように定義しています。

道路幅員(道幅) 4m以上の道路
2項道路都市計画区域にある幅員(道路) 4m未満の道。
特定行政庁により道路と指定されているもの

建築基準法では建築物と道路に関して接道義務セットバックという制限を定めています。

  • 接道義務建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない
  • 2項のセットバック:2項道路では道路の中心線から2m下がった線を境界線とみなして、道沿いの建物を立て直すときはこのみなし道路境界線まで下がって立て直さなければならない。なお、道路の片側が川やがけ地の場合は、道路と川やがけ地の境界線から4mのセットバックが必要。

現状の場所は仕方ないのですが、立て直すときは目の前の道路を4mにしなさいと、土地を接収されます。

建ぺい率の制限

敷地面積に対する建物の建築面積の割合建ぺい率といいます。

建物の最大建築面積(建築面積の上限)は、敷地面積に用途地域ごとに定められている指定建ぺい率を乗じて算出します。

建ぺい率=建築面積/敷地面積

最大建築面積=敷地面積×建ぺい率

例) 指定建ぺい率が80%の地域で敷地面積300m2の土地に建物を建てる場合の最大建築面積は、300×0.8=240m2

指定建ぺい率が異なる用途地域にまたがって建築する場合、建ぺい率は加重平均(各土地の建築面積の合計を、敷地面積の合計で割る)で計算します

例) 地域Aと地域Bにまたがって建築する場合の建ぺい率

地域A=建ぺい率:60%、敷地面積:300m2

地域B=建ぺい率:50%、敷地面積:200m2

最大建築面積=敷地面積×建ぺい率

地域Aの最大建築面積=300×0.6=180m2

地域Bの最大建築面積=200×0.5=100m2

AとBの建築面積の合計=180+100=280m2

敷地全体の建ぺい率=建築面積の合計/敷地面積の合計

建ぺい率=200÷(300+200)=0.56=56%

建ぺい率の緩和規定

指定建ぺい率は次の場合に緩和されます。

建ぺい率の上限80%以外の地域で次の①②を建築した場合
①防火地域内に耐火建築物及び耐火建築物と同等以上の延焼防止性能の建築物
②準防火地域内に耐火建築物、準耐火建築物及びこれらの建築物と同等以上の延焼防止性能の建築物
プラス10%
特定行政庁の指定する角地にある建築物プラス10%
上記の両方に該当する場合(10%+10%)プラス20%
防火地域内で、かつ上限80%の地域に耐火建築物及び耐火建築物と同等以上の延焼防止性能の建築物を建築した場合制限なし
(建ぺい率100%)

容積率の制限

敷地面積に対する建物の延べ面積の割合容積率といいます。建物の最大延べ面積(延べ面積の上限)は、敷地面積に用途地域ごとに定められた指定容積率を乗じて算出します。

容積率=延べ面積/敷地面積

最大延べ面積=敷地面積×指定容積率

例) 指定容積率が200%の地域で敷地面積300m2の土地に建物を建てる場合の最大延べ面積は、300×2=600m2

指定容積率が異なる用途地域にまたがって建築する場合、容積率は加重平均(各土地の延べ面積の合計を、敷地面積の合計で割る)で計算します

前面道路の幅員による容積率の制限

●前面道路の幅員が12m未満の場合:用地地域別に次の制限がある。

住居系用途地域
(法定乗数4/10)
前面道路の幅員×4/10
① 幅員8mなら8×4/10=3.2で容積率320%
その他の用途地域
(法定乗数6/10)
前面道路の幅員6/10
② 幅員8mなら8×6/10=4.8で容積率480%

これによって算出された数値と、指定容積率の数値のうち、小さい方の容積率が用いられる。例えば、指定容積率400%のときは、「①の場合:容積率320%②の場合:容積率400%」が用いられる

前面道路の幅員が12m未満の場合は、容積率に上のような制限があります敷地が2つ以上の道路に面している場合は、最も幅の広い道路が前面道路になります

防火規制

建築基準法では建築物が防火地域および準防火地域にわたる場合、原則としてその全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用されます。つまり、敷地内において防火規制が最も厳しい地域の規制が適用されます。

農地法

農地を取引する際は、農地法による制限があります。

農地を転用(農地以外のものにすること)する場合、農業委員会への届出と、都道府県知事(または指定市町村の長)の許可が必要です。ただし、市街化区域内の一定の農地の転用は、農業委員会への届出だけで手続きが終わります

区分所有法

分譲マンションなどの集合住宅における共通の管理や使用について定めた法律が、区分所有法です。

区分所有者は所有者自身の意思にかかわらず、区分所有者の団体(管理組合)の構成員となります。

  • 集会による議決:集会においては、区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物のの敷地等に新たに建物を建築する旨の決議をする。
  • 分離処分の禁止:区分所有者は原則として、専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することはできません。また、専有部分と共用部分の持ち分を分離して処分することもできません。
  • 管理費滞納以前の所有者が管理費を滞納していた場合、新たに購入した買主に滞納分の支払い義務が発生します

街中にも色々決まりごとがあります。散歩をしながらこれらのことを思い返してみましょう。それと、建ぺい率と容積率は出題されやすいのでよく覚えましょう!